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本田陽一郎公認会計士・税理士事務所
公認会計士・税理士 本田陽一郎
公認会計士・税理士 若山奈緒(事務所所在地 京都市)

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個人か法人か?

個人で事業を営んでいると、法人化した方が得か?と言われることも珍しくありません。

しかし、どっちが得になるかは、事業規模や将来の展望などによって異なるので一概には言えません。また、法人化は、節税などのメリットがある一方で、事務負担が増えるなどのデメリットもあります。法人化後に後悔しないためにも十分な検討が必要です。

個人事業主と法人化はどっちが得なのか、法人化した際のシミュレーションを交えて徹底解説します。法人化を推奨するケースも紹介するので、個人事業主と法人化のどちらを選べば良いか判断できるようになるでしょう。

個人と法人とどっちが得?

事業規模や将来の展望

個人事業主と法人化のどっちが得になるかは、事業規模や将来の展望によって異なるため注意が必要です。

個人事業主は、事業に関連する業務を一人でこなすケースが多く、法人と比べて必要な資金は少額でしょう。しかし、法人なら、従業員を採用して営業や事務、経理などの業務に人員を割り当てることができます。人員だけでなく、資金も法人の方が集めやすいです。

将来的に売上高や店舗数などを拡大したいのであれば、法人化した方が、ビジネス成功の可能性が高まる点や節税などの観点から得と言えるでしょう。

しかし、法人は一人社長も社会保険の加入義務が必要なため、社会保険や労働保険などの経費や事務負担が増えます。一人で事業を行いたい方や負担を増やしたくない方は、個人事業主の方が得という見方もできます。

どのような状況が得なのかは、人によって様々です。法人化は、将来の展望や理想とするビジネスモデルを明確にした上で検討しましょう。

法人化のメリット

法人化には、以下のメリットがあります。

・社会的信用が高くなる→と言われがちですが、対銀行などは代表者が個人的に多額の預金をしているとか、高収入の給与の振り込みがあるとか、住宅ローンを一回も遅延していないとか、法人でも資本金が1億くらいあってそれがその銀行に預金としてあるとかです。何の取引実績もない、まして「資本金1円」の会社は、相手どころか口座すら開設してくれないのが実情です。

・資金調達しやすくなる→上に同じ。(株)がついて資金調達できるならだれでもそうします。

・社会保険に加入できるようになる→これはそうです。

・事業承継をスムーズにしやすくなる→こういう面もあります

・節税効果が高い→一概には言えません。

また、詳しくは後述しますが、社会保険に加入できる点や事業承継しやすくなる点もメリットです。そして、法人は個人事業主と比べて税金面の優遇が多いため、節税効果が高いのは最大のメリットと言えるでしょう。

法人化のデメリット

法人化には、以下のデメリットがあります。

・会社設立や商業登記の手続きが煩雑

・社会保険の加入が義務となる

・従業員の雇用によって費用や事務の負担が増える

・赤字でも法人市民税が発生する

起業や会社設立だけでなく、役員の変更や店舗の移転といった場合も商業登記が必要です。事業実態に変更がある都度、法務局への手続きが必要な点は、事業に専念したい人にとってはデメリットと言えるでしょう。

また、詳しくは後述しますが、会社設立によって社会保険の加入が必要になるため、社会保険料の費用負担や社会保険への加入・脱退に関する事務手間も増えます。

さらに、赤字でも税金が発生する点は最大のデメリットと言えるでしょう。個人事業では、赤字であれば税金の負担はありませんでしたが、法人は赤字であっても、法人市民税と県民税の均等割が課税されます。

シュミレーション

個人事業主の所得800万円

まずは、個人事業主の所得が800万円のケースで手取りを算出していきます。今回は、事業所得800万円から各種税金や社会保険料を除いた金額を手取りとします。

また、住民税と事業税の税率は自治体によって異なるため注意が必要です。シミュレーションは、京都市在住で販売業を営んでいるケースを想定して計算するので、ご自身で計算するときはお住まいの自治体のホームページで税率を確認しましょう。

例:

事業所得 800万円

所得控除 148万円(社会保険料控除100万円、基礎控除48万円)

課税所得(所得税) 652万円(事業所得800万円-所得控除148万円)

課税所得(住民税)   657万円(事業所得800万円-所得控除143万円)

 

所得税

894,900円(百円未満切り捨て)

(課税所得652万円×所得税率20%-所得控除額427,500円=876,500円

876,500円×復興税率2.1%=18,406円

876,500円+18,406円=894,906円)

住民税

662,600円(課税所得657万円×税率10%+均等割額5,600円)

事業税

255,000円

((事業所得800万円-事業主控除290万円)×税率5%)

合計

1,812,500円

 

事業所得

8,000,000円

社会保険料

1,000,000円

税金の合計

1,812,500円

手取り

5,187,500円

個人事業主の事業所得が800万円のケースでは、5,187,500円が手取りという結果になりました。

 

法人の事業所得が800万円

法人の場合、代表者本人の労働の対償として「役員報酬」を設定しますが、役員報酬は損金として経費計上できます。また、会社が労働者や役員と折半して負担した社会保険料の金額も「法定福利費」という名目で経費計上可能です。

法人は個人事業主よりも経費として認められるものが多いため、個人事業主と同じ所得額でも課税対象となる所得額に差が生じることは知っておきましょう。

今回は計算を簡略化するために、資本金500万円の会社を令和6年から設立したケース(従業員は代表のみ)を想定し、以下の設定で手取りを算出していきます。

例:

法人の所得   110万円(事業所得800万円ー役員報酬600万円ー法定福利費90万円)

役員報酬    600万円

所得控除    138万円(社会保険料控除90万円、基礎控除48万円)

役員の課税所得(所得税) 298万円(役員報酬に対する給与所得-所得控除)

役員の課税所得(住民税) 303万円(役員報酬に対する給与所得-所得控除)

 

法人税

165,000円(法人の所得110万円×税率15%)

地方法人税

16,900円(百円未満切り捨て)(法人税額165,000×税率10.3%)

法人県民税

21,600円(百円未満切り捨て)(法人税額165,000×税率1%+均等割額20,000円)

法人事業税

52,700円(百円未満切り捨て)(法人事業税:法人の所得110万円×3.5%=38,500円

特別法人事業税:38,500円×37%=14,245円

38,500円+14,200円=52,700円)

法人市民税

59,900円(法人税額165,000×税率6%+均等割額50,000円)

合計

316,100円

 

計算した結果、法人の税金額の合計は316,100円です。個人事業主のケースでの税金額の合計が1,812,500円だったので、このケースでは1,496,400円の節税になりました。

法人の手取りは110万円から税金316,100円を引いた783,900円と考えられます。

しかし、法人の税金には、代表者個人の所得税や住民税は考慮されていないため、代表者が得た役員報酬から各種税金の金額を計算し、手取りを算出する必要があります。

役員報酬

6,000,000円(給与所得 4,360,000円)

社会保険料

900,000円

所得税

204,700円(百円未満切り捨て)(役員の課税所得298万円×所得税率10%-所得控除額97,500円=200,500円

200,500円×復興税率2.1%=4,210円

200,500円+4,210円=204,710円)

住民税

308,600円(課税所得303万円×税率10%+均等割額5,600円)

手取り

4,586,700円

法人の所得110万円・役員報酬600万円とするケースでは、代表個人の手取り額が4,586,700円となりました。

個人事業主と法人のケースでの手取り額の差は以下の通りです。

個人事業主の所得800万円のときの手取り(A)

5,187,500円

法人の所得110万円・役員報酬600万円のときの手取り(B)

4,586,700円

A-B(個人の手取りとの差額)

600,800円

法人の所得110万円・役員報酬600万円のケースの方が個人の手取りは 600,800円下がってしまいました。しかし、個人とは別に法人の手取りが783,900円あるため、個人と法人を一緒に考えると183,100円手取りが増えるとも言えます。

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